2021.09.13
家づくり
見学会

気をつけろ!営業主体の会社!

一級建築士|井上秀樹

気をつけろ!営業主体の会社!

ここ10数年でいろんな会社が増えてきた。ただ申し訳ないが、技術力に長けているような業者は一つもなく、営業主体の会社ばかりだ。正直いい家を建てようなどとは思ってなく、杓子定規に既定のものを均一簡素に最速で作っていく。最近みな高気密高断熱ZEHのバカの一つ覚えのよう。

「敢えて言おう。気温の高い地域には高気密高断熱は不要であると!」

それはなぜか?

実は今や日本は亜熱帯気候と言っても過言ではないくらい熱い。日射エネルギーは断熱程度では防ぎきれず、時間が経てば室内へ貫通してくる。しかも高気密高断熱化で熱が逃げなくなり室温が住めなくなるくらいに熱くなる。そこで全館空調のお出ましだ。電気にものを言わせて家の全容積を空調。一時でも消そうものなら夏は灼熱地獄と化す。電気代の請求書で驚愕しないためにソーラー完備。以前ソーラーは売電で手元に資金が残っていた。だが今や追い銭打つのは当たり前。設備代も新築時に上乗せして払っているのにも関わらずにだ。それほど電気を使っているということ。こんなことをしていたら原発をあと2、3新築しなくてはならなくなるかもしれない。本当のエコに早く目覚めなくてはいけない時期に来ている。

ちなみに、そんな家ほど庇がない。日射と雨は壁ではなく庇(屋根)で受ける。そんな基本の「キ」も知らない。頼むから勉強して家を建ててくれ!これ以上環境に負荷を与えるな!

営業主体の会社は着工棟数要は売り上げ。こればかりを強調する。また営業職は激務なものだから、ある程度顧客がついたら、販売ノウハウと顧客リストをもって新会社設立する。家づくりは違いがわからなくらい均一簡素化しているため、始めるのも簡単だ。誇大広告に資金を投入し、見込み客を捕捉し、一気に営業攻勢をかける。1年目10棟、2年目30棟、3年目100棟などと目標を立て、広告費と人件費を使いあたかもいい家を多く建てているように錯覚させる。こうなると次第に経費が大きくなりすぎて、その巨額となった経費を回収するため、家はどんどん陳腐化し、お客からは借入限度一杯までもっていった契約をしていかないと会社はなりゆかない。高い割りにパッとしない家が多いのはそこが原因。広告ばかりに気を取られ、肝心な家づくりを怠ったために散っていった会社も多数知っている。しかし、会社名を変え同じような家を建てる会社となって即座に復活する。今までのお客とは、ハガキ一枚でオサラバだ。

こんなのに食い物にされる事実を知って欲しい。ここで今一度考えて欲しい。家づくりの本質というものを。なんのために家を造るのかを。

最後に、お客にとっては何棟建てようが、どこどこのスポンサーになろうが知ったことではない。払った金額に見合う家をしっかり造ってくれるだけでいい。建ててしまえば、どこで建てたかなんかはどうでもいいことになる。純粋に家の良し悪しだけが残るだけなので。