2021.09.09
家づくり

木の家にかんなくずは付き物

一級建築士|井上秀樹

木の家にかんなくずは付き物

今日は現場での発生材であるかんなくず産業廃棄物処理でお世話になっている大東商事さんに持ち込んだ。このかんなくずはビニルやプラスチックなどを含まない自然に還る木の削りくずなので、処理をするのに環境への負荷をあまり与えない。それゆえ処分費も安い

産業廃棄物処理業者(施設)は国または県の許認可を受けなければ開設できない。無許可の場合や山奥に不法投棄などは言語道断で罰則も相当重いものになる。

トラックの荷台に積載されているものが、鉋屑(かんなくず)だ。建具の枠板や階段板を削る際に発生する。塗装した木や防腐剤を注入した木などとは違い、自然素材の木は削って形を調整できる。さらには削った際は心地いい木の香が漂う

昔は近所の子供がカブトムシの飼育にかんなくずをもらいに来ていた。今や、かんなくず自体レアなものとなっているようだ。

かんなくずは本物の木の家でのみ発生する。本物の大工職人の手によって造られる木の家だ。ちまたの家ではかんなくずは発生しない。なぜか。最近の家は売ることだけに特化した時短化省力化均一化の家。現場で時間のかかる作業はしない。箱詰めで送られてきた材料をカッターで開け、多能工と言われる数時間の講習を受けた人が電動ドライバーで組み立てる。そこに大工道具のノミやカンナなどは不要。現在残念なことにそんな家を作るメーカーがタケノコのように増えてきだした。今や日本の家は陳腐化の一途辿っており世界の笑い者となりつつある。日本建築をないがしろにしてきた結果であろう。

ここで家づくりをご検討の聡明な方へアドバイス

空気の澄んだ木の家を希望されるなら、発生材に注目してほしい。かんなくずが出ているなら当たりの期待大。かんなくず以外の発生材がある、または発生材が出ないようなら、VOC(揮発性有機化合物)充満のケミカルチープハウスの大ハズレの可能性が大だ。