2021.09.01
家づくり

既存建物の良し悪しはココでも判断できる!

一級建築士|井上秀樹

既存建物の良し悪しはココでも判断できる!

かつて家の浴室はタイルなどで造る造作浴室が殆どだった。現在は湿気を浴室内に閉じ込めて建物の壁体内部木部へのダメージを軽減するためにユニットバス、システムバスが主流となっている。

造作浴室でとくに留意しなければならないのが、いかに湿気を壁体内に侵入させないかということ。ここの施工がうまくいってないと、浴室部分の木フレーム(柱、土台、梁)からダメージが蓄積していき、やがてその部分から朽ち果てていく。

タイル面うらの木下地。全くのノーダメージ。こういう施工をされている家は、ほかの部分を見てもしっかり造られている

本物の大工職人により施工された家だということがわかる。まさに非の打ち所がない。

バブル全盛期の平成一桁年代の家は、それは酷いものだった。家もタケノコのように乱立し、それにあわせて住宅屋も激増した。営業主体の技術者皆無の中身のない会社も増えた。あまりにもひどい会社は淘汰されてしまったが、まだその残党も現存しているのも事実。高いまがい物を避けるためにもリサーチは必要だということ。

この家は平成一桁台にもかかわらず、いい施工をされている。オーナーさんのリサーチもさることながら、いい大工との縁も持っておられた「運」の部分も大きいだろう。