2021.07.12
家づくり

鉄筋は重要な部材

一級建築士|井上秀樹

鉄筋は重要な部材

現代の住宅において、基礎は一般的に鉄筋コンクリートで造っている。いわゆる鉄筋コンクリート造(RC造)だ。

大荷重に耐えうることができ、耐用年数もメンテナンスにもよるが60~200年程度と高耐久。圧縮力をコンクリート、引張力を鉄筋が負担する複合構造。コンクリートの強度、流動性、種類、鉄筋の本数、直径、材質などと密接な関係があり、そのバランスが重要。さらに施工次第で強度にばらつきが出やすいナーバスな構造でもあり、扱いには豊富な知識と経験が不可欠

最近はこれ見よがしに鉄筋を増やし、あたかも高強度であるように見せているメーカーも多々あるようだが、バランスというものを知らないのだろう。

異形棒鋼。節筋(ふしきん)とも。規格はSD295AやSD345など鋼材の降伏点(荷重を与え続けてもとにもどることのできる弾性変形を超えた点)の「材料強度」によりきめられたもの、D10やD16など「鉄筋の径」によって決められた(呼び径という)ものがある。

引張力を負担する重要部材となる鉄筋、表面上の錆くらいでは強度の低下は考えられないが、鉄筋内部まで浸透した錆は、強度を著しく低下させる。実際、鉄筋を錆びさせないように、コンクリートはアルカリ性となっている。しかし長い年月を経ると雨などでコンクリートがアルカリ性→中性→酸性と変化していき、鉄筋に錆を発生させ、錆による鉄筋の膨張でコンクリートに大きなヒビを発生させる。さらに進むとコンクリートが剥離してしまう「爆裂」という現象が起きる。こうなる前に先手先手のメンテナンスが必要である。