2020.11.13
★お知らせ

造成工事始動

一級建築士|井上秀樹

造成工事始動

かつて畑だった敷地。道路面より約40cm低い。道路の高さまで敷地面を持っていく予定。

敷地が道路より低いと道路からの雨水が流入し水はけが悪くなる。また、隣地の敷地より高くしないほうがよい。敷地を高くしたことにより、隣への雨水の流入が発生すればトラブルも同時に発生する。一戸建てを構える以上、近隣トラブルは最も避けなくてはならないファクターだ。

敷地かさ上げ時の注意点

敷地高さを上げるのに土を入れる。その際、隣地との境界に注意する。敷地境界線が塀のどの部分に入っているかで対処が変わる。塀がこちらの敷地側にある場合、塀が境界線の中心にある場合は特に問題はないが(強度については十分に検討する必要がある)、塀が隣地側にすべて入っているときは例え土を入れて見えなくなる場合でも、こちら側にも塀を築造するほうが望ましい。こちらで土を入れたことにより、隣の塀へ圧(土圧という)がかかり倒壊する可能性も少なからずあるからだ。

農地のままでは家は建てられない

土地には地目というのがある。土地の用途について不動産登記法によりカテゴライズされている。法務局で土地の要約書または登記簿で確認できる。建物は基本「宅地」にしか建てられない。ここ八代は農業が盛んだ。よって地目に「田」「畑」が多い。この場合「宅地」へと地目を変更しなくてはならない。この手続きが農地法による農地転用許可申請だ。自己所有であれば4条申請、売買であれば5条申請といった具合に所有形態により申請の種類が異なる。詳しくは司法書士、土地家屋調査士に聞かれるとよい。

八代の場合、毎月15日に農業委員会が開かれる。そこで審議した後、許可が下ろされる。その間約1~1.5カ月。許可後初めて着工可能となる。完工後、建物が建って登記する際、はじめて地目が「宅地」となる。

また、農業振興地域(農振地域)も多く、こちらは農地転用(農転)許可申請の前に農振除外申請を行わなくてはならず、農地を宅地へと変更する、よほどの理由がない限り、変更は難しい上に期間も相当要することになる。なんにしても事前調査は必要だ。