2020.06.07
★お知らせ
見学会

ご来場まことにありがとうございました!

一級建築士|井上秀樹

このスローガン、これホントのこと

 今回二日間行いました完全予約制完成見学会にお越し頂きまして本当にありがとうございました。木の家の気持ちよさをご体感頂けたことと思います。次回もこういう見学会、勉強会を開催していきます。今後ともよろしくお願いします!

 ここからはいつもの話題です。

「見学会は一時間、後悔は一生」これホントのこと。なぜか?それは、知っているか知らないかで800万~1000万円は損するかしないかが決まる。家の価格は明確な規定があるわけではなく各社自由に決めることができる。安い家を安く作っただけの家、安い家なのに何かとおしゃれとかインスタ映えとか訳の分からない付加価値を付け高く売っている家(最近「たけのこ」のように増えてきている。※要注意、いい材料で作った高い家、いい材料でつくったのに安い家、色々ある。なかでも後者二つはなかなか出逢う事ができない。出逢える人は運がいい。

 最近目につくようになったが、そもそも生命も土地も建てた家も担保に入れてローンを組んで建てる家を「おうち」などとのたまうのはおかしいと思う。そんな軽い気持ちで家をつくっているのかと言いたい。リカちゃんファミリーやペンシルバニアファミリーが住むなら「おうち」でもいいが…。リアルな人間が住むということをお忘れなく。インスタ映えとかもよく分からない。シーズンごとに変える事ができるファッションなら別にいいが、家はシーズンごとに建て替えられない

坪単価は各社でマチマチ

 家の価格は各社自由に設定できる。一般的な目安として坪単価というのがある。1坪=3.3㎡当たりの金額を提示している。家の必要面積は一人当たり9坪というから4人家族の場合36坪あれば十分だ。この場合坪単価50万円なら36坪×50万円=1,800万円となる。だがこの単価の設定方法が各社違う。追加が出ないような設定なら文句はないが、一番安く作れる形を基本としているのがほとんど。家と切り離せるものは、基本入っていない。屋外給排水や電気引込、仮設足場、照明、カーテンなどはほぼオプション。追加なしでは住めない状態。一昔前坪単価19万円というのがあった。本当か!と驚愕したが、なんと基礎とフレームだけ。屋根、外壁、内壁、断熱、住設その他諸々施主が自由にカスタマイズできるというのがうたい文句だった。しかし最安の組合せでもローコストビルダーよりも高かった。安かろう悪かろうを越えた高かろう悪かろうという訳の分からないものだった。すぐに淘汰されたようだが…。

最近流行りのおしゃれな「おうち」

 最近流行りのコスパ最強の建物。庇がないため、屋根材の節約、屋根勾配をほぼ水平にできるので建物の高さも低くし外壁面積も減らせ節約、室内も同様壁面積を減らせ節約、窓も防犯、断熱、耐震を考え小さくし、サッシ代も節約、あとは施工がとにかく簡単。本物の職人は必要なく日当の安いちょっと器用な方で大丈夫。45日~60日で完成できるので資金回収が早く、資金繰りが良く会社にとってメリットばかりだ。また箱物に資金を掛けられない新規店舗などの商業物件に多い造りだ。しかし同じ店舗でも由緒伝統ある老舗店舗にこのようなマッチ箱みたいな建物はない

 こういうのを基本に坪単価を設定していると追加なしではおそらく住めない。希望など言おうものならコストは1.5倍~1.7倍にはなるという覚悟が必要だ。さらには熱効率の悪さから24時間空調強運転を余儀なくされるので住み始めてから住宅ローンに電気代(4~5万/月)が上乗せされる。断熱にこだわるあまり暑い地域の家づくりとかけ離れたものとなっている。気密や熱貫流よりも通気(自然風による給排気)が大事ということに気づいていない。給排気を取る開口部(窓)も頭が入らないくらい小さい。もしくははめ殺し(開閉不可の窓)。ここは極寒のスカンジナビア半島ではなく日本だと言いたい

なぜか平屋は基本坪単価+10万円

 今回ご参加頂いた方々が口を揃えて言っていた「平屋なのに坪単価は上がらないのですか?」と。弊社の場合ズバリ上がらない。なぜか。それは先程の説明の通り、安い形状を基本としていないから。一階二階の面積が同じシチュー鍋みたいな家なら屋根と基礎が半分で済むのでローコスト化できる。キューブ状ならさらに突っ込んだローコスト化ができる。だが、この形状にしてしまうと建てるまではローコスト化が可能だが、住みはじめてからはコストがかかり、結果として施主に迷惑をかけ続けることとなる。こんな家は冬はともかく夏場の光熱費がかかり続け、九電の上客と化し、環境負荷に加担してしまうことになる。さらにここ熊本は一年間12か月の内10か月は暑い寒い時期の2か月に焦点を当て高断熱化するのはお勧めできないむしろ服を着た方がいい夏は裸になろうが暑いものは暑い。家自体を涼しくつくる方が理に適う。そうするには平屋も、2階建ての1階も2階も長い庇が必要だ。この状態を基本としているので平屋だろうが2階建てだろうが同じ坪単価となる。35坪で建てた場合、55万円×35坪=1925万円(税抜)。これに官公庁手続き、登記関係に80万円程度の経費が必要。仕様は安い板金屋根、内装クロスなんてのは誰でもできる。この価格でいぶし瓦、全室床壁天井しっくい、珪藻土、杉板、住設もキッチン、バス、洗面台(タカラスタンダード製)、便器(TOTO製)、温水器(三菱製)、さらに給排水、電気、照明、カーテンすべて含んでいる。生活できる状態での引渡し価格といったところだ。土地代、造成費、水道引込工事費、井戸掘削費、外構費など土地敷地によって条件が一定しないものは含まれていない。別途見積となる