2020.05.21
家づくり

本物のしっくい

一級建築士|井上秀樹

本物のしっくい

本物のしっくいは白い。消石灰をわらすさとのり(海藻のなどのぬめり成分)でつなぎとめる。

色がついているものはどこか匂いが違います。

わらすさが入ってないものも匂いが違います。

何が本物かを知るには、まず本物を知らないといけませんよね。これがその「本物」というものです。

最近、本物を見る機会はほとんどなくなりました。

これが「すさ」または「わらすさ」というものです。

この繊維くずみたいなのが消石灰が主成分であるしっくいが割れないようにするために入っています。しっくいは自然素材なので伸び縮みしません。壁が何らかの外力で動いたときしっくいが引っ張られて割れるのを防ぎます。

しっくいは塗れる職人が大変少なくなりました。工程もパテかい、下塗り、中塗り、仕上げ塗りと4工程もあります。同じ壁を4回も塗るんですよ。最後の仕上げはコテムラを出さないように段違いによる陰影を際立たせる白熱灯照明を横から当てて凹凸がほとんど見えなくなるまで、コテで押さえます。

これが職人気質というものです…。

とっておき情報

ここで自然素材の木の家を建てたい方にとっておき情報!

ちまたでよく言われる「自然素材の家」、「木の家」とは訳が違う本物の「自然素材でつくる木の家」はここで見分けろ!



○しっくいは色がついているものは、もはや自然素材ではない。

 消石灰は「白」。色がついた時点で何らかの物質が混入している。



○コテムラを敢えて出すような凹凸のある仕上げ(ヨーロッパ風の壁)をするようなしっくいは自然素材ではない。

 しっくいは伸び縮みしない。凹凸があればそこから割れが発生する。割れが発生しないのは、樹脂により固定されているから。

 こういう材料を使用して自然素材などと謳っているメーカー、工務店等は要注意。なぜなら、樹脂はそもそも自然素材ではない。しかもクロスみたいに平坦な壁であれば接着剤使用面積は壁の見たまんまの面積(見付面積という)で済みますが、凹凸を付けた樹脂塗り壁であれば、見付面積の2倍ほどの樹脂使用面積となり、部屋内部への化学物質放散量も2倍となる。またその凹凸にホコリもたまるというおまけ付き。クロスの方がまだマシということになる。



○しっくいは調湿材料であるが、そこまで効果は得られない。

 塗り壁で調湿、吸湿を大きく謳っているメーカー、工務店も要注意。塗り壁というのは厚さはせいぜい2~3mm程度。その吸水量は霧吹きで吹きかける程度の量でしかない。人一人が一日の生活で発生する水蒸気量は約1.5リットルに及ぶ。家族が多いと発生水蒸気量はさらに増える。塗り壁だけの給水量だけでは賄いきれない。ちなみに樹脂塗り壁に吸水性はほとんどない。